悪魔は夜に笑う
言葉を咀嚼するのにかなり時間がかかった。
蒼士郎くんの口から結婚なんて言葉が飛び出してきたような。
天地がひっくり返ってもありえないと思ってた展開に本当に口が塞がらない。


「好きだよあゆなさん」


追い打ちをかけるように、立ち尽くす私を抱きしめて耳元で囁く悪魔の声。
惹かれたくない。心の中ではずっと葛藤していた。
しかし彼の腕の中こそが求めていたぬくもりなのだと、離れていてようやく分かった。


「愛結那さんは俺のこと好き?」

「悔しいけどめっちゃ好き」

「悔しいってなに」

「ずっと認めなくなかったけど、認めざるを得ないほど蒼士郎くんのことが好きってこと」

「俺の頑張りが報われたってこと?」

「そーいうこと!好きだよ蒼士郎くん」


何度目かの問いかけに、私はようやく蒼士郎くんの目を見て気持ちを伝えることができた。
こうして悪魔との恋の駆け引きは、私の完敗という結果で終焉を迎えた。
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