悪魔は夜に笑う
深夜1時半、自宅の玄関のドアが開く音がした。
あれ、蒼士郎くん今日は早かったな。
バーテンダー3人出勤だから早めに上がれたのか。

付き合って以来合鍵を渡してるから、週末は私の家に来るようになった。
だいたい爆睡してるから翌朝蒼士郎くんが来てることに気づくけど、今日はたまたま目が覚めたから出迎えるか。


「おかえり、今日早かったね」

「あゆなさん、ただいま」


玄関で目を擦りながら出迎えると、蒼士郎くんは瞬く間に笑顔になって抱きしめる。
仕事中は小賢しいくせにふたりきりだと甘えてくるのなんで。


「あゆなさんにおかえりって言われるのいいな。ねえいつから同棲する?」


声を弾ませて私の首元に顔を埋める。
だから誰なんだよこの男は。


「結婚してからの方がいい?」


明らかに私と付き合ってから浮かれている。
そんなに恋人関係になれたのが嬉しかったのかな。
そう思うと私もニヤついてしまいそうになるから頬の内側の肉を噛んで耐えた。


「蒼士郎くんはいつ結婚したいの?」

「あゆなさんが29歳のうちに」


私なんて付き合ってる実感がようやく湧いてきたのに蒼士郎くんはもう結婚を将来のビジョンに入れているらしい。
私は早生まれでしかも3月生まれだから他の人より歳をとるのが遅い。
そうだとしてもあと半年後には入籍してるってこと!?
どうしよう、信じられない。
つい最近まで結婚なんて、叶うはずのない絵空事だと思ってたから。
< 142 / 181 >

この作品をシェア

pagetop