悪魔は夜に笑う
好きという言葉を伝えられるようになってから気が楽になった。
これまでずっと疑心暗鬼だったからまだためらいがちだけど、蒼士郎くんを信頼できるようになったのは確かだ。
心の奥底で燻っていた裏切りへの恐怖は日に日に薄れている。

なにより好意を言葉にした時、受け止める蒼士郎くんは分かりやすくまんざらではなさそうだからその反応を見るのが楽しい。
だけど恋心が永遠ではないことを知っている。
本当にずっと私を好きでいてくれるかが今のところの不安。


「ねえ、何考えてる?」

「っ、あ……」


暗がりの中、体は繋がっていても心の内は互いに分からない。
シャワーを浴びた蒼士郎くんはいつものようにベッドに寝ていた私を情事に誘った。
誘惑が得意な悪魔には勝ち目がなく、気づけばいつも手のひらで転がされている。


「器用だねあゆなさん。俺に抱かれてるのに考え事なんて」

「ちがっ、んぁ」


下から突き上げられ、体を揺さぶられてうまく言葉が紡げない。
男はどうして女を上に乗せる体位が好きなんだろう。
騎乗位じゃなかったらわずかに漏れ出た不安には気づかれなかったのに。


「違わないでしょ。目逸らしたくせに」

「ごめん、ね」


目ざとい蒼士郎くんには全部筒抜け。
私がまた変なこと考えてるとでも思われたかな。
蒼士郎くんの気がかりを払拭しようと、自分から腰を曲げてキスをする。

すると動きが止まって、気になって目を開くと爛々と光る目と視線がかち合った。
なに?絶対ろくなこと考えてない目だ。
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