悪魔は夜に笑う
「また縁結びのキューピットになってしまうとは……」


一通り私の話を頷きながら聞いてくれたマスターは、眉毛を八の字にしてチャーミングな笑顔を浮かべる。
この時点で蒼士郎くんと天地の差。あの子はリアクション薄いし共感することができないし、なんならどこかで余計な一言を入れてくる。


「そうなんですぅ!もうこれが私の宿命なのかなって」

「せっかく素敵な名前なのに」

「愛に結ぶなんて名前がダメなのかも。改名したらすぐ結婚できたりして」

「だめだめ、親御さんが泣くよ。僕も娘に名前変えたいなんて言われたら泣いちゃう」

「ふふ、泣いちゃうんだ」


マスターは見た目こそ職人気質で気難しそうな雰囲気だけど、実際は愛らしい笑顔の温厚な癒し系イケおじ。
家族想いなのが特にポイントが高い。
3Bと敬遠されるバーテンダーにもこんな高尚な人がいるんだと希望が持てる。


「あゆなさんの漢字って愛に結ぶって書くんですか」


マスターとの歓談を夢中になっていると、裏で作業をしていた蒼士郎くんが普通に会話に入ってきた。
どうしよう。一瞬ためらったけど普段通り接することにした。
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