悪魔は夜に笑う
しかしこの男、期待して舞い上がる心を撃ち落とすのが得意なようだ。
チャウチャウって……あの、ライオンみたいなたてがみのブッサイクな犬よね。
目がつぶらで、顔にシワが寄ってるみたいにしかめっ面のあのワンコ?

呆然としていると、横に並んで歩く蒼士郎くんが首を傾げた。


「チャウチャウ知らない?」

「知っとるわ!それに似てかわいいってなんなん?喧嘩売ってる?」

「褒めてるつもり」


さすがにバカにしてるだろうと思いファイティングポーズを取ったけど、いたって真面目な顔でそう言われたから拳のやり場がなくなった。

なんというか、今更だけど蒼士郎くんって感性が人とズレてるところがある。


「賑やかな方が好きだから、あゆなさんが隣に居てくれたら人生楽しそうだと思った」


それでも、私を伴侶として選んでくれる予定というのなら大目に見よう。
蒼士郎くんの執着心や愛情に偽りはないことは身を持って体感した。


「そこまで言うならしゃーない。私の隣、独占してくれてもええで」

「あは、うざっ」


嬉しくなって陽気に話しかけたら、どこか冷めたような笑みで一言。
これはさすがにおちょくっている。

先ほど行き場をなくして困っていた拳を今一度振り上げる。
すると蒼士郎くんは実に楽しそうに、愉快な笑い声を上げながら逃げ出した。

お互い素を出せるのは良いことだけどこんな小学生のようなやり取りはいかがなものか。
子どもっぽいと考えながらも気づけば私も笑っていた。
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