悪魔は夜に笑う

蒼士郎くんは荷物を置くと私服のままカウンターから出てトイレに向かう。
使い捨てのゴム手袋してたから用を足すわけではなさそう。
トイレ掃除するんだろうな。蒼士郎くんは素手で掃除しなさそうだし。


「マスター、私にもできる開店準備はありますか?」

「愛結那さんはお客様なので座っていただきたいんですが、そうですね……テーブルを拭いていただけると助かります」

「了解です!」


私も何か手伝うか。営業時間外にマスターに話を聞いてもらうのは違う気がするし。
立ち上がってやる気を見せると伝わったのか、マスターは台拭きを渡してくれた。

まずカウンターを隈なく拭いて、その後テーブル席に移動する。
すると後方から陽気なジャズが突然流れ出した。
振り返ればいつの間にトイレから出たのか、蒼士郎くんが音響の調整をしていた。

蒼士郎くんが私服でカウンターをうろつくと違和感がすごい。
これがワイシャツにベストを着たら様になっちゃうんだからすごいよな。
なんてテーブルを拭きながら観察していると、開店前なのにお店の扉がひとりでに開いた。
入店を知らせるベルが鳴って、全員がそちらに注目する。

現れたのはなんと、セーラー服を着た長い黒髪の中学生くらいの女の子だった。
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