悪魔は夜に笑う
「パパー、忘れ物届けに来たよ」


すると、女の子は紙袋を掲げながらカウンターに近づく。
紺色のセーラー服に、艶やかな長い黒髪が揺れる。
小顔で色白でパッチリ二重の美少女。優しそうなため目がマスターによく似ている。

「ああ、たすかった。ありがとう璃世(りせ)

「璃世ちゃん、久しぶり!」


間違いない、マスターのお子さんの璃世ちゃんだ。
制服姿初めて見たから誰かと思った。人の子の成長は早いって言うけど、璃世ちゃんが中学生なんて時の流れ早すぎる。
初めて会った時は小学校に入学ほやほやで真新しいランドセル背負ってたし。


「あれ、愛結那ちゃん?やっほー」


近づくと陽気に手を振って、パッと華やかな笑みを見せる。
笑うとよりマスターに似てるんだよねえ。なんだかほっこりしちゃう。


「制服似合うーかわいいね!」

「でしょ?リセもセーラー服好きなの」


一人称が自分の名前って地雷感強いけど、璃世ちゃんだと全く嫌な気がしない。
ママ似でしっかり自立してるもんね。将来男を尻に敷きそう。

璃世ちゃんはマスターに忘れ物が入っているらしい紙袋を渡すと、カウンター席に置いたままの私の荷物を見て首を傾げた。
何か気になるものでもあったかなと近づくと、バッグのファスナーが半分ほど開いていて中から木彫りのキーホルダーが飛び出していた。
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