悪魔は夜に笑う
「せっかくだから新作あげる」


璃世ちゃんはスカートのポケットに手を突っ込むと、ジッパーが付いた透明の袋を取り出した。
なんで持ち歩いてるの、という疑問はさておきこの生物はなんだ。
受け取ってまじまじと新たな木彫りのキーホルダーを見つめる。

この前はカモノハシをモグラって間違えちゃったから、本人の前で間違えるわけにはいかない。
耳の長い茶色の動物……候補はたくさんあるけど、ここは間違えても良さげなかわいい動物を挙げよう。


「これは……うさぎ?」

「カンガルーだよ。こんなムキムキなうさぎ嫌でしょ」


なんだカンガルーか。見当違いなのは確かだけど、変な動物の名前を口に出さなくてよかった。
しかし、璃世ちゃんみたいな今をときめく女の子がハンドメイド作品にハマってるの意外だな。


「確かにマッスルポーズしてる!芸が細かいね。これは赤嶺くんに渡したら?」

「将大くんきはトイプードル渡した。ギャップでかわいくない?」

「押し付けてるの間違いだろ」


ムキムキマッチョがプードルのキーホルダー付けてるとかミスマッチでおもろい。
そう思っていたら着替えた蒼士郎くんが現れて璃世ちゃんに冷静に一言。
仕事モードに入ったんだから生意気度減らしなさいよ。
そう言おうと思ったけど、バーテンダーの制服を着た蒼士郎くんがシュッとしてカッコイイ。


「でも蒼士郎は捨てずに持っててくれるじゃん。そういうとこ優しいよね」


まあ、璃世ちゃんも小悪魔的な生意気さがあるからこの程度じゃどこ吹く風か。
2人のやり取りを観察していると、突然璃世ちゃんの視線が私に向けられた。
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