悪魔は夜に笑う
✤✤✤

結局、お店に行くのが習慣になっていたから蒼士郎くんと決別することができず、相変わらず週2で通ってる。
蒼士郎くんはたまに連絡先を要求してくる以外はちょっかいかけてこないからスルーしてる。

6月になって夜まで蒸し暑い。
嫌な季節がやってくる。メイクは落ちやすくなるしアラサーになると紫外線対策に本腰入れないと大変だから。
今日は残業でとっぷり日が暮れたから関係ないけど。

バーの出入口の扉を開いたのは22時。金曜日だから満席かと思ったけど案外席が空いてた。
マスターが手招きしてくれたから空いているカウンター席へ向かう。

腰を下ろすと、カウンターの下からひょこっと蒼士郎くんが顔を出して露骨に目を見開いた。


「いらっしゃいませ。今日は来ないと思ったら目の前にいてビビった」

「同じ部署の子が休んだから残業してたの。気がついたらこんな時間よ」

「何飲みます?」

「疲れてるから甘いのでお願いします」

「珍しい。最近のリクエストは強い酒ばっかりだったのに」


頭を働かせたから糖分が足りない。
珍しいリクエストに蒼士郎くんの口角が上がる。
すると隣で飲んでた女子2人組が蒼士郎くんに熱視線を向け「笑ってる……」と目を輝かせていた。

蒼士郎くんもファン増えたな。
私みたいなアラサーじゃなくてこういう若い子にアプローチしたらいいのに。
ほら、シェーカーを振る姿を見てかっこいいと呟きながら顔を赤くしている。
蒼士郎くんスカしてるところがあるから、こういう素直でかわいい子に浄化された方がいいと思うけど。
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