悪魔は夜に笑う
0時を過ぎて解散した。北島さんに2軒目どうですかとお誘いを受けたけど、今週は残業続きで疲れていたからお断りさせていただいた。

さて、タクシー呼ぶか。
店を出てスマホに視線を落としていると、タバコのにおいが鼻腔をくすぐった。

あれ、このにおい、蒼士郎くんの銘柄?
ふとにおいのした方に首をひねる。
すると仄暗いの路地裏で、爛々と光るふたつの目とかち合った。


「ひぇぇ!」


こっちを見てるとは思わなかった。
間抜けな驚き方に「ビビりすぎ」って冷静な蒼士郎くんの声が聞こえた。


「び、びっくりしたー、暗闇に目が光ってたよ」


蒼士郎くんは壁に寄りかかって一服していた。
でも、まだ勤務中では?


「バーテンダーが勤務中にタバコ吸っていいの?」

「今休憩中。それに今日はもうお客様の前に出ないからいいの」


なるほど、お客さん少なくなってきたから裏で作業をするらしい。
接客業って事務作業できる時にしておかないといつまで経っても帰れないもんね。

ふと、蒼士郎くんは片手を上げて手招いてきた。
なんで険しい顔して手招くの。怖いんだけど。
恐る恐る近づくと蒼士郎くんはタバコの火を消した。


「あゆなさん、俺とは連絡先交換しないのにあいつとはするんだ」


あー、不機嫌そうなのはそういうこと。
でもさ、当たり前じゃん。
蒼士郎くんはセフレ目的、北島さんは飲み友目的。そりゃ下心ない方と連絡先交換するでしょ。

それに私、蒼士郎くんと泥沼関係になりたくない。
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