悪魔は夜に笑う
眠い。猛烈に眠い。それなのに違和感を覚えて脳が覚醒しようとしている。
なんか、体触られてる。腹の肉をつままれてる。

さては蒼士郎くん、人の贅肉で遊んでるな!


「肉つままないでってば!」

「あ、起きた」


予想通り、目を開けると蒼士郎くんが後ろから抱きつくような形で私の腹をぷにぷにつまんで遊んでいた。
飛び起きたおかげで眠気も飛んでしまった。


「なんで胸じゃなくて腹なん!?」

「あゆなさんは胸よりお腹とか太ももの方が触り心地がいい」

「貧乳いじりやめんか!」


なぜよりによって腹を揉みしだく。
起きがけに睨みつけると今度は「だって全然起きないから」ってなぜかスマホの画面をこっちに見せてきた。


「俺さっきシャワー借りようと思って声かけたんだけどさ、あゆなさんフゴーって猪みたいないびきで返事してた」


見せてきたのは動画で、被写体は半目になっている私の寝姿。蒼士郎くんが「あゆなさん」と声をかけるたびにオッサンみたいないびきで返事していた。

最悪。こんなん百年の恋も冷めるわ。
しかも動画撮られてるからなんも言い訳できない。


「ちょ、待って、受け止めきれない。ひどすぎる。早急に記憶から消し去りたいからこの動画消して」

「やなこった」


いつかの私の真似をして笑う蒼士郎くん。
なんなんだこの男。いたずらしてる時は生き生きとしやがって。
文句を言いたかったけど、恥ずかしくてひとまず逃げたくてシャワーを浴びることにした。
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