悪魔は夜に笑う
シャワーを浴びてすっきりして、リビングに戻ったら蒼士郎くんはもう服を着てソファでスマホを眺めていた。

もう帰るのかな。寂しくなって近づくと、ふとスマホの画面が見えた。
映っていたのはホーム画面。わたしは背景の写真を見てフリーズしてしまった。


「ま、待って嘘やろ!それ私ぃ!?」


思わず蒼士郎くんのスマホを掴んで顔を近づける。
なんか白目の怪物の顔が写ってると思ったら、変顔する私だ。
なんで私の顔を背景に?一種の恐怖を覚えて、私は口をパクパクさせながら画面を指さし必死にこれはなんだと訴えた。

蒼士郎くんは至って淡々と元画像を探して見せてきた。
間違いない。これはあの日披露した私渾身の変顔だ。


「ああこれ?あゆなさんの変顔、超魔除けになる」

「魔除け?」

「めんどい女ほぼ連絡来なくなった。キューピットのご利益にあやかってる」


遊んでる女が他にいるってことが発覚したけど今はどうでもいい。
なんでよりによって私の醜態を不特定多数が見るかもしれないホーム画面に設定してるんだよ!


「それ私の力じゃなくて、身内でもない女の変顔を壁紙にする蒼士郎くんをやばいと思って離れていったんじゃない?」

「どっちでもいいよ。解放されて自由な気分」

「私の清楚なイメージと引き換えにね」

「大丈夫。あゆなさんのこと誰も清楚って思ってないから」

「ねえ、一回しばいていい?」

「やだ」


行動原理が本当に読めない。それはそうとして腹が立ったから片手を上げて構えると、蒼士郎くんは突然満面の笑みを見えた。
それはそれは楽しそうに。少年のような清々しい笑顔で。

邪気のない笑顔に力が抜けた。
もう真面目に付き合うのも馬鹿らしい。
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