悪魔は夜に笑う
仕方なくふたりで並んでキッチンに立つ。
注ぎ口の細いコーヒーポットでお湯を沸かし、キッチン下の収納からドリッパーのセットとコーヒー粉を取り出す。


「ちゃんとハンドドリップで淹れてくれるんだ」

「一応蒼士郎くんはお客様ですからね」

「お客様にいびきで返事する家主ってどうなの」

「マジでうるさい。お湯かけるよ」


珍しくしつこいな。ピシャリと言ってのけるとさすがに蒼士郎くんも黙った。
なんかテンションおかしくない?酔ってるわけでもないのに。


「あゆなさん、年下ってナシ?」


お湯が沸騰するを待っていると、再び蒼士郎くんは口を開く。


「何、いい人紹介してくれるの?」

「……」

「え、急に黙ってなに」

「俺のことなんだけど」


てっきりしょうもないことでからかってくると思ったら、今なんて言った?
冗談だろうと首をひねると笑ってない。
うん、一旦聞こえなかったことにしよう。

と、その時お湯が沸いた気配がしたため、そちらに意識を集中した。
温度を一定にするためにドリッパーと受けのサーバーにお湯をかけ捨てる。
食器棚からマグカップを取り出して……ああ、違う違う。アイスコーヒーを作るんだった。
グラスに持ち替え、氷を入れて顔を上げたらまた蒼士郎くんと目が合った。
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