悪魔は夜に笑う
「前はあゆなさんみたいに陽気で面白い人がいいなって思ってた。でも今は“あゆなさんみたいな人”じゃなくて、あゆなさんがいい」


言葉ではいくらでも愛を語れる。それは口にすればするほど上っ面に聞こえる。
そのはずが、普段愛を語らないぶっきらぼうな男が口にすると話が変わってくる。
嘘でも嬉しいと思ってしまうのは間違いない。

怒涛のラブコールに耐えきれなくてついに目を逸らした。
心臓が痛い。こんなに熱烈に誰かに求められたのは初めての経験だった。


「すっげー目が泳いでる」


蒼士郎くんは私の顔を見つめて目を細める。
笑顔の破壊力に特大のダメージを食らい、私はついに手で顔を被った。


「ちょっとは俺に気持ち傾いてる?」

「勘弁してよ……」

「嬉しい。早く堕ちてきて」


悪魔は誘惑が本分だと聞いたことがある。
黒田蒼士郎という悪魔は私をターゲットに定めたらしい。
だけど飲んだ勢いではなく、シラフで真っ昼間から正々堂々と口説く男だとは思わなかった。


「すぐ付き合ってくれなくていいよ。でもずっとアプローチ続けるから」


もう聞こえないフリをするしかない。
すると悪魔は耳元で囁き、私の肩に頭を預けた。
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