悪魔は夜に笑う
第4話
暑さに殺意を覚える時期になった7月。
夜も蒸し暑くて極力外に出たくない。
特に今日は夕立があったから湿気がまとわりつくような暑さに気分が萎える。

それでも習慣だからバーには行く。
決して蒼士郎くんに会いに行くわけじゃない。あの男は店の外では甘えるくせに接客中はかなり塩だし。
私はマスターに会って癒されたいのだ。

今日はさっぱりしたのが飲みたいな。モヒートとか。

定時で上がれたから18時の開店と同時に行けそう。
なんとなく早足になって、店に着いたのは17時50分。
入れさせてもらえるかな。さすがにわがままかな。

うろうろしていたら店の裏でタバコを吸っている蒼士郎くんを発見した。
室外機の熱気で暑いのによく涼しい顔していられるか。
声かけてみようかな。覗き込むともうひとつ人影があることに気がついた。


「蒼くん大好き」


それは猫なで声でタバコを咥える蒼士郎くんに抱きつく。

格好からして周辺のガールズバーの子かな。
ほっそい足に薄っぺらいお腹。
私も10代の頃はあれくらい細かったのに今では下っ腹の備蓄が増加の一途を辿っている。

こんなに冷静なのは蒼士郎くんが抱きつかれても無反応だったからだ。
蒼士郎くんは彼女に一切構うことなくタバコを吸っている。
ああ、これは脈ナシだな。関係性を知らない私ですらそう思ったほどだ。
< 38 / 181 >

この作品をシェア

pagetop