悪魔は夜に笑う
気まずいけどこれ以上は暑くて耐えられない。
私は何も見なかったと、暗示をかけてお店に飛び込むしかない。


「愛結那さん。早い時間に珍しいですね。いらっしゃいませ」

「ピッタリ定時で上がれたので来ちゃいました」


思い切って扉を開き、涼しさに身を委ねているとマスターが奥から出てきた。
彼に向けてピースサインをすると、その後ろから蒼士郎くんが現れた。


「何ドヤ顔でピースしてんの?」


うん、いつも通りの生意気な蒼士郎くんだ。
さっきの出来事は水に流す感じだな、分かった。
聞けば教えてくれるだろうけど、私もここで問いただすのは違うかなと思う。


「定時で上がれてハッピーモードなんです。今の私は蒼士郎くんに何言われたって無敵だから」

「そうですか、ハッピーで何よりです。で、ストレスで増えた体脂肪は減りました?」

「ぐっ……なぜ飲む前にその話題を思い出させる」


相変わらず痛いところを突いてくる男だ。
しかし私は今日は飲むと決めた女。体脂肪のことは明日考えればいい。

一旦お酒の力を借りて楽しい気分に持っていこう。
私はカウンターに座ってモヒートを頼んだ。
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