悪魔は夜に笑う
私は蒼士郎くんから差し出されたコードレス掃除機にスイッチを入れて店内を隅々まで掃除機をかけた。
10分ほどしてミッション完了。顔を上げると蒼士郎くんがカウンターの外にいて、すでに着替えてリュックを背負っていた。


「え、もう締め作業終わったの!?」

「今日は余裕あったから清掃以外ある程度終わらせてたんです。ほら帰るよ」


蒼士郎くんはカウンターの椅子の上に置いた私の荷物を持ってバックヤードに向かう。


「ちょっと待って!この掃除機どこに片付けるの」


バタバタ追いかけてカウンター内に入り、蒼士郎くんから教えてもらった所定の場所に掃除機を片付けると店内は真っ暗になっていた。
明るい店内しか見たことないから暗いと物悲しい雰囲気だ。


「あゆなさん、こっち」


立ち止まっていると蒼士郎くんに声をかけられ、従業員出口から外に出た。


「蒼士郎くんの家って近いの?」

「歩いて1時間。自転車で20分ってところ。俺はだいたいチャリだけど今日はあゆなさんいるからタクシーにする」


蒼士郎くんは裏口の鍵を閉めて、スマホでタクシーアプリを操作しながら表の扉が閉まっているか確認する。


「タクシーすぐ来るって」


前を歩く蒼士郎くんの声を聞きながら、また今日も彼を家に上げることになってしまうのかとはたと思った。
嫌じゃないから断りずらい。だって蒼士郎くんと一緒にいる空間が心地いいから。
男女の関係があるから変に気は使っちゃうけど。
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