悪魔は夜に笑う
「リセちゃんって蒼士郎くんのこと好きなんじゃない?」

「それは絶対ない。“塩系イケメンはクズしかいないから絶対やめなさい”ってママに言われてるんだって」


よかった。まあリセちゃんは変な男には引っかかりそうにないけど。
そしてママ、さすがバーテンダーの妻だ。かなり的確な鑑識眼で的を得ている。
それから、その能力を私にも少し分けて欲しい。


「ねえ、あゆなさんの合鍵はくれないの?」


ネタにしかならない男性遍歴を思い出し、ちょっぴり悲しくなっていると蒼士郎くんが私の手を握る。
うーん、この男もいずれトラブルメーカー揃いの男性遍歴に加わってしまうのだろうか。


「前に合鍵渡した人に失くされて大変な目に遭ったからあげない」


そうなるのが嫌で危機回避することにした。


「そんな話俺聞いたことないけど」

「言ってないだけじゃない?」

「いや、あゆなさんは性格上そんなトラブルがあったら絶対ネタとして話してるはず」


しかし関西人であることが裏目に出た。
うん、私ならタダで転んでたまるかとネタにする。


「ふは、図星?」

「……」

「いいよ、すぐ絆されてくれたら面白くないから。じゃあお風呂借りるね」


あからさまな嘘をついて嫌な顔されてもおかしくないのに、蒼士郎くんは爽やかな笑顔。
なんなのこいつ何考えてんの。
わけが分からなくて、蒼士郎くんの姿が見えなくなった後、頭をかかえてしゃがみこんだ。
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