悪魔は夜に笑う
今日は仮にもカフェデート。どの服を着ていこうかとクローゼットの服を引っ張り出してはしまう。
うーんと唸っていると、スマホのバイブ音が聞こえた。

ずっと鳴ってるから着信かな。もしかして職場?
嫌な気分で自分のスマホを見ると通知はなし。
ということは蒼士郎くんのスマホか。

ベッドに置きっぱなしのスマホは裏面が上になっていたからひっくり返した。
そして絶句して息が止まった。


“ひなこ”
現在進行形で蒼士郎くんに電話をかけてきた相手の名前がそれだった。絶対女の名前だ。

ああ、ほら。いくら甘い言葉で惑わせようと、私がなびかなかった理由がこれだ。
私以外の女は切ったなんて、見え透いた嘘だと思ってた。
しょせん私は都合のいい女ってことか。
うん、まあ、早めに分かってよかったんじゃない?

着信の表示が消えた。なんだか耳鳴りがする。
悲しくて悔しい。私はあと何度こんな経験をしなくちゃならないのか。

とにかく性格上なかったことにはできないから、道化を演じて気を紛らわせよう。
ひとまず深呼吸をして、震える手をぎゅっと握り胸に当てた。
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