悪魔は夜に笑う
待ちわびた蒼士郎くんはタオルで頭を拭きながらゆっくりご入場。
「蒼くーん、女の子からお電話よ」
ふざけてみたけど心臓がうるさすぎて自分の声がうまく聞き取れない。
ちゃんと言葉にはなってると思うけど、蒼士郎くんは目が合っても感情の機微を一切見せない。
なんで動じないの?浮気バレたようなもんだけど。
それとも私なんて都合のいい女のひとりだから、遊んでることが発覚してもどうでもいい?
なんとか言ってよ。わずか数秒間がもどかしくて耐えきれない。
痛いくらい心臓が脈を打ち始め、それなのに指先は冷たくて、まるで矛盾している私の心を体現しているかのよう。
否定してほしいのに、そんな甘い現実などありえないと心がせめぎ合っている。
「なんて名前?」
「“ひなこ”さん」
「ああ、兄貴の奥さん」
ところが蒼士郎くんの言葉にフリーズ。
もしかするともしかして……単なる私の勘違い?いやいや、嘘ついてる可能性あるし。
なんでわざわざお兄さんの奥さんが電話かけてくるの。この場しのぎの嘘じゃない?
すると蒼士郎くんはスマホを手に持ち、私の目の前でロックを解除して、“ひなこ”さんに電話をかけた。
2コール目くらいでお相手は着信に応じて、蒼士郎くんは口を開いた。
「おはようございます。蒼士郎ですけど。……うん、今起きたからおはよう」
わざわざ私の目の前で電話かけた。つまりやましいことはないってこと?
ああもう、分からん。
張り詰めていた気が抜けて近くのソファにどさっと腰を下ろした。
「蒼くーん、女の子からお電話よ」
ふざけてみたけど心臓がうるさすぎて自分の声がうまく聞き取れない。
ちゃんと言葉にはなってると思うけど、蒼士郎くんは目が合っても感情の機微を一切見せない。
なんで動じないの?浮気バレたようなもんだけど。
それとも私なんて都合のいい女のひとりだから、遊んでることが発覚してもどうでもいい?
なんとか言ってよ。わずか数秒間がもどかしくて耐えきれない。
痛いくらい心臓が脈を打ち始め、それなのに指先は冷たくて、まるで矛盾している私の心を体現しているかのよう。
否定してほしいのに、そんな甘い現実などありえないと心がせめぎ合っている。
「なんて名前?」
「“ひなこ”さん」
「ああ、兄貴の奥さん」
ところが蒼士郎くんの言葉にフリーズ。
もしかするともしかして……単なる私の勘違い?いやいや、嘘ついてる可能性あるし。
なんでわざわざお兄さんの奥さんが電話かけてくるの。この場しのぎの嘘じゃない?
すると蒼士郎くんはスマホを手に持ち、私の目の前でロックを解除して、“ひなこ”さんに電話をかけた。
2コール目くらいでお相手は着信に応じて、蒼士郎くんは口を開いた。
「おはようございます。蒼士郎ですけど。……うん、今起きたからおはよう」
わざわざ私の目の前で電話かけた。つまりやましいことはないってこと?
ああもう、分からん。
張り詰めていた気が抜けて近くのソファにどさっと腰を下ろした。