悪魔は夜に笑う
「なに?……来週?早い時間は厳しいかも」


まだ私の勘違いという確証はないけど、その可能性が大いに高まってやっと呼吸ができた心地だ。
すると蒼士郎くんは、私の頭に手を置いて頭を撫でてきた。
顔を上げると前を向いたまま喋ってるくせに指先は私の髪を愛でている。

その表情から察するに潔白なのだろう。
それに蒼士郎くん本人から、絡まれてた相手とどういう関係性か聞いてほしかったって言うくらいだから泣き寝入りはせず徹底的に聞いてみるか。


「来週兄貴と比奈子さんが店に来るって」


通話を終えた蒼士郎くんは私の隣に座る。
私から見える角度でスマホを操作して“結婚記念日 お祝い”と調べている。


「結婚記念日らしいから何か用意しないと」


どうしようもう全部怪しく思えてしまう。
たぶん私の思い込みなのに、過去の苦い記憶が蘇って蒼士郎くんのことが信用できない。


「花束とデザートプレートでいいか。無難だけど」

「なんでお兄さんじゃなくてその奥さんから連絡きたの?」


蒼士郎くんはそう結論づけ、スマホをソファに置いた。
私はそのタイミングで初めて蒼士郎くんに対して女性関係を問いただすことにした。


「俺、兄貴からの連絡は無視しがちだから奥さんがかけてきたっぽい」

「返してあげなさいよ可哀想に」

「俺は末っ子だから許される」


蒼士郎くん気まぐれなところあるからお兄さんに返信しないの頷ける。
前に聞いたな。蒼士郎くんは男三兄弟の末っ子だって。
ずる賢い甘え上手になるわけだ。
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