悪魔は夜に笑う
「おっふ……」


なんていい筋肉と褒めるつもりが気色悪い感嘆の声が出た。
やばいリアクション間違えた。蒼士郎くんに変人扱いされてしまう。
口を塞ぐと蒼士郎くんは眉を上げて何その反応、とでも言いたげ。


「蒼士郎くんもジム行くんだ。でもなんで動画撮ってるの?」

「フォームの見直しとか、どれだけ筋肉が育ってるかとか比較のため」


蒼士郎くんにつっこまれる前に自分から質問。
返答は実に真面目で、一瞬でも筋肉好きな女子に送り付ける用の動画なのかなと思った自分が恥ずかしくなった。


「あゆなさんみたいにネタ用に動画撮る人の方が珍しくない?」

「ネタじゃない私だって真剣!」


真剣に取り組んでる蒼士郎くんからすれば、私のピラティスなんてお遊びみたいなものだろう。
正直、ほんのちょっとだけええネタできたわとは思ったけど。
だいたい誰に見せても“こんなんならんやろ”って笑ってくれるし。

蒼士郎くんは自分の動画の再生をやめて、再び私のトレーニング動画をじっくり見る。
あからさまにスマホの画面こっち向けてるのムカつく。
でもこんなに表情筋ゆるゆるなの珍しいし、その可愛さに免じて生意気な発言は許してやるか。
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