悪魔は夜に笑う
蒼士郎くんは缶ビール2本と白ワインを丸々1本開けても顔色ひとつ変わらない。
私はダイエットも兼ねてお酒はセーブしておいた。


「あゆなさん手冷たい。夏なのに」

「あんまり飲んでないからね」


顔色は変わらずとも、アルコールの影響で蒼士郎くんの手が熱い。
私の手を握ったり二の腕をもちもちと揉んで満喫したりとボディタッチを繰り返している。
これは酔ってる、のか?いや、通常の蒼士郎くんと変わらないような。


「ひんやりして気持ちいい」


蒼士郎くんは私を抱き寄せて呟く。
確かに蒼士郎くん、熱があるのかと思うほど体全体から熱を発している。


「エアコンの温度下げようか?」

「あゆなさんと違って血行が良いだけだから大丈夫」


うん、いつも通り余計な一言を呟く余裕があるからこいつ全然酔ってないな。
イラッとしたけど蒼士郎くんの腕の中が気持ちよくて拒むことができない。
心地良さに身を委ねていると、蒼士郎くんの吐息が耳にかかった。


「くすぐったい?」


身をよじると声が間近に聞こえる。
なんか、夜のベッドの上の蒼士郎くんを思い出して急に恥ずかしくなった。


「なんで耳赤いの?」


髪を耳にかけていたから照れたのがバレた。
慌てて隠そうとすると手を掴まれ、耳を甘噛みされた。


「っ……噛まないで」

「ビクってした。かわいい」


顔を上げると、蒼士郎くんの目の奥に熱を感じた。
獰猛な捕食者のような眼に、今夜も獲物にされてしまうのだと実感してお腹の奥がきゅっと疼いた。
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