悪魔は夜に笑う
「あゆなさん万歳して」

「自分で脱げますけど」

「今日は俺が脱がしたい気分なの」


脱衣所に着くと万歳させられて服を脱がされた。
上半身は下着姿に。しかし蒼士郎くんの目線が下に向き、私のお腹を見つめていることに気づいた。
なぜ胸ではなく腹を?


「ちょっとお腹周りすっきりした?」

「せやろ!?お腹薄くなった気がする」


なんだろうと思ったら、ピラティスの成果が出てると勘違いしてくれたらしい。
実際はウエスト1cmも変わってないけど。
褒められて嬉しくて、もっと見栄えよくしたくて少しお腹に力を入れた。
その状態で横を向いて上半身が薄くなったように見せかけた。


「力抜いて」


しかし蒼士郎くんにはバレていた。冷めた目でそう言われ私は偽ることをやめた。
力を抜くとぽよんと下っ腹が飛び出る。
蒼士郎くんは「ぶはっ」と思い切り吹き出して笑った。

仕方ないよ食べた後なんだからさあ。言い訳しても出ているものは出ている。


「あゆなさん好き……」


見栄を張った私を前にして、蒼士郎くんは肩を震わせ抱きしめてくる。
そんな笑われながら言われても全然心に響かない。


「私は笑われるの嫌い」

「あゆなさんが笑わせてきたんじゃん」


屈託なく笑う蒼士郎くんの笑顔は乙女心に刺さるけど、そこまで笑うことなくない?
だけど笑われて変に意識しなくなった。羞恥心が半減したからよしとしよう。
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