悪魔は夜に笑う
「律儀に待ってるんだ。やけに静かだから逃げたと思った」


数分して蒼士郎くんがバスルームから出てきた。
裸のままシーツにくるまっている私を見てうっすら微笑む。
私は食べられる運命を悟ってごくりと生唾を飲み込んだ。

覆い被さるようにシーツごと抱きしめ、それから顔を上げて私の輪郭を確かめるように触れる。


「髪、乾かさないの?」

「後でいいかな。一回抱かせて」


濡れた髪に触れると、その手を掴んで手の甲にキスを落とす。
そして指を絡めるように繋ぎ、再び口付けを交わす。

蒼士郎くんって性格上潔癖ぽいと思ってたけど、酒臭い女とキスするのは抵抗ないんだ。
それとも相手が私だから?自惚れそうになってしまうほど触り方が優しいから勘違いしそうになる。


「して欲しいことある?」

「……いっぱい触って、ぎゅってして」

「やば、あゆなさんそういう甘え方するんだ」


酒の勢いも助長して、信じられないほど欲に忠実になってしまう。
蒼士郎くんだって目を丸くするくらい。
今日はいろんな表情が見られて変な感じ。
5年の付き合いなのに、まだまだ彼の知らない部分がいっぱいあるんだ。
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