悪魔は夜に笑う
「俺が熱すぎたんです」

「は?」

「集客に熱が入って台風まで直撃させちゃって……復旧するまでお世話になります」


なるほど、そういえば沖縄に台風直撃ってニュースでやってたな。
彼の職場に甚大な被害が及んでいるとは知らなかった。


「え、大丈夫なん?」

「復興資金繰りも兼ねて頑張って働きます」


だけど彼はこの店の名物バーテンダー。前向きでひたむきな赤嶺くんは特に年配の方からの人気が高い。
こんなムキムキマッチョのバーテンなんて珍しいから以前テレビ局が取材に来たこともあるくらいだし。

その時は蒼士郎くんがいなかったから夏はひとりで大変だったってマスター言ってたな。


「大丈夫。夏は我々の時代ですから常にご機嫌ですよ」


思い返してると心配してると思ったのか赤嶺くんはさっきとは別のマッスルポーズを披露。
ただでさえパツパツなのに筋肉に力を込めると服が引っ張られて悲鳴を上げてるように見える。


「私はいつも赤嶺くんのボタンが飛んでこないかヒヤヒヤしてるよ」

「飛ばせるようにトレーニング頑張ります」

「いや飛ばさんといてって言ってんの」


赤嶺くんがいるならマスターも蒼士郎くんも助かるだろう。
笑い合っているとバックヤードから蒼士郎くんが現れた。
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