悪魔は夜に笑う
蒼士郎くんはいつもの仏頂面で赤嶺くんと私の顔を交互に見る。
勤務中なのに覇気がなさすぎる。そう思うのは赤嶺くんの姿勢がいいからだろうか。


「びっくりしたでしょ」


そう言って赤嶺くんと並ぶ。身長は蒼士郎くんの方が少し低い。
蒼士郎くんは私のちょうど10cm上だから177cmらしい。
つまり赤嶺くん180くらいあるのか。マッチョなのに長身って威圧感がある。

赤嶺くんは私のひとつ下で28歳。出会った時はここまで黒くないしムキムキでもなかったけど、働き出してから筋トレに目覚めたらしい。

彼が帰ってきたってことはしばらく繁盛するだろうな。なにせ赤嶺くんに会いに沖縄まで行くお客さんもいるみたいだから。


「そりゃびっくりするよ!なんで教えてくれなかったの」

「その方がおもしろいから。あゆなさんの驚いた顔めっちゃ笑える」


だって赤嶺くんはこんなムカつくこと絶対言わないポジティブ紳士。
ちょっと変わってるけど明朗快活で男女問わず客受けがいい。
今日も黒い肌とは対照的な白い歯が眩しい。
久々の再会に私も心が踊る。楽しい夜になりそうだ。

その日は金曜日だからお客さんが多くて、ラストオーダー時間帯で満席だった。
赤嶺くん効果かな。売上もすごそう。
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