ビハインド・ザ・バック ~彼に狙われたら逃げられない~
「勝ったんでブレイクしますね」
 鷹羽くんはラックを台の下に戻して、ヘッドラインの斜めの位置から球を打つ。

 ぱちん、とはじけるようにボールが散らばった。
 ふたつほどの球がポケットにインして、ごとん、とレールポケットに落ちる音が響く。

「手早く済ませますね」
 そう言って、一番を撞く。と、当たった一番が九番に当たり、九番がポケットにインした。
 丸野くんも門田さんも言葉もなく呆然と突っ立って、私もまた唖然としていた。あっという間に二勝だ。

 彼はもくもくとまた球を並べる。
「私もブレイクしてみたーい」
 門田さんが甘えるように言い、鷹羽くんは興味なさそうに答える。

「俺はかまいませんけど、おふたりは?」
「俺もいいよ」
「私も」
「じゃあどうぞ」

 鷹羽くんが置いた手球を一番からまっすぐの位置に置き、門田さんはお尻を突き出すようにしてキューを構える。

 彼女はちらっと鷹羽くんを見て、彼がまったく自分を見ていないことに気づいてやる気なさそうにキューを撞き、よろよろと球が一番に当たる。

「番号の順番に球を落とすようにしようぜ。ほかの球に当てて九番を落とすのなしな」
「だね。でないとすぐ終わっちゃうもん」

 丸野くんの提案に、門田さんが乗っかる。
 むしろ終わらせてるよね、と私は鷹羽くんを見る。
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