ビハインド・ザ・バック ~彼に狙われたら逃げられない~
 門田さんは心臓を撃ち抜かれたように目をハートにして立ち尽くし、私もあまりのまばゆさに顔を両手で覆った……けど、こっそり指の隙間から彼を覗く。

 たくらみをありありとさらしながら、なんで天使のような純真無垢な笑顔をできるの!?

 彼がすっと構えると、それだけで空気が変わった。
 がやがやとした声が遠のき、張り詰めた静寂が訪れる。
 狙いをつける横顔から、私はもう目を離せない。

 すっとグリップを突き出し、手球がクロスの上を滑る。
 レールのクッションに当たった球が跳ね返り、カチン! と的球に当たる。

 さらに別の球に当たり、また別の球に当たる。二個同時にポケットにインして、私と門田さんは思わずハイタッチした。

「鷹羽くん、すごいね」
「ねー」
「ラッキーだったな」
 丸野くんの顔に焦りが浮かぶ。

「邪魔者は早めに排除しないとね」
 鷹羽くんが挑発的に丸野くんを見て、火花が散った。

 そのまま彼は若い番号から順に落としていき、私は目をみはった。

「ランアウトしちゃう!?」
「なにそれ」
「自分の番のときに残り全部を落としちゃうことだよ」

 カチン。カチン。
 鷹羽くんが次々と落としていくのが爽快だ。

 とうとう最後の九番になった。
 私と門田さんは同じように胸元で手を組み、はらはらと見守っている。彼女は今や、鷹羽くんを応援する同士だ。

 彼がグリップを押し出す瞬間。
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