ビハインド・ザ・バック ~彼に狙われたら逃げられない~
「っくしょん!」
 丸野くんが大きなくしゃみをして、鷹羽くんのキューが手球の上部を滑る。

 かすっ!
 小さな音がして、手球がころっと転がった。

「ファールだな」
 にやにやと丸野くんが言う。

「今のなしでしょ」
「だよね」
 私と門田さんが抗議するが。

「いいよ、ファールで。門田さん、落とせば勝ちだから」
「……なんかプレッシャー!」

 フリーとなった手球を、門田さんはうきうきと配置した。まっすぐにポケットを狙う、理想的なシュートラインだ。
 力いっぱい手球を打ち、当たった九番はポケットにイン。

「やった!」
 喜んだ直後、手球も一緒にインしてしまい、がっくりと肩を落とした。これだとファールでノーカウントだ。

「せっかく入れられたのに」
「残念だったね」
「俺なら成功したなあ」
 どや顔の丸野くんに、門田さんはむっとして私に言う。

「絶対に入れてね」
「ありがと」
 応援され、私は鷹羽くんから白い手球を受け取る。的球は、これも鷹羽くんが定位置に置いてくれている。
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