ビハインド・ザ・バック ~彼に狙われたら逃げられない~
 ドリンクをオーダーして受付を済ませ、指定された台に行く。

「ナインボールでいいですか?」
 鷹羽くんが尋ねる。一番から九番まで順番に落としていき、九番を落とした人が勝つゲームだ。的球になった番号の球を利用して九番に当てて落としても勝ち。

「それでいいよ」
 丸田くんの答え方が横柄に思えて、カチンときた。

 鷹羽くんは気にしていないようで、さらに聞く。
「対戦形式は五先(ごさき)にします?」
 五先は五回先に勝ったほうが勝ち、ということだ。

「いいけど。俺、勝っちゃうよ」
 丸野くんが上着を脱ぎ、袖まくりをしてひょろっとした腕を出した。

「お手柔らかに」
 鷹羽くんは笑みを崩さず上着を脱いだ。同じく袖をまくると、たくましい腕が露出する。

 初めてこの姿を見たときは、普段は見えてない部分が見えるのってこんなにどきどきするものなの? と思ったものだった。隠している色気が、ビリヤードの時だけはあふれてくる。

 門田さんと一緒にスタンドにキューを取りに行くと、こそっと耳打ちされた。
「私、鷹羽くんのこと狙ってるから。よろしく」
「えっ」

 私の返事を待たず、門田さんはキューを持って戻るから、私もキューを手に台に戻る。
 宣言されたけど……私、どうしたらいいんだろう?

「バンキングでブレイク決めようぜ」
「ブレイク? バンキング?」
 丸野くんの言葉に門田さんが首をかしげる。
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