【異世界恋愛*短編集】変わり者の令嬢はハッピーエンドをつかみ取る
学科試験の結果は講堂で発表される。
とはいっても全員分ではなく、成績上位者の生徒たちだけだ。
成績表は厳重に封をされておのおのに渡されるので、名を呼ばれなかった者は家に持ち帰ってから開封することになる。
クラウディアはいつも名を呼ばれるが、もちろんスタンリーは毎回持ち帰り組の方だった。
「――ふっ。だが今回ばかりはいつもの俺と違う。楽しみにしていろよクラウディア」
「はい。スタンリー様」
クラウディアはにこにことうなずき、壇上へと視線をやった。
低学年から名前を呼ばれ、最後がクラウディアたちの学年だった。第五位から始まって、スタンリーの名前が呼ばれぬまま、残すは第一位のみとなった。
スタンリーは壇上を睨み、きつくこぶしを握り締めている。
しんと静まり返った講堂に、学院長の声が朗々と響く。
「そして、第一位。――クラウディア・モロー!」
パチパチと盛大な拍手が送られる中、スタンリーはがっくりと膝をついた。
「一位はクラウディアに決まっているじゃない。一体何を期待していらっしゃったの?」
あきれ混じりのメイジーの声を聞きながら、クラウディアは急ぎ壇上へと上がった。
次の学科試験ではスタンリーと二人で並べるといいなぁ、などと考えながら。
「やはり、付け焼き刃では無理だったのだ……」
表彰が終わり、クラウディアとスタンリーは訓練場へと続く小道を歩く。
本音を打ち明け合ったあの日以来、クラウディアは遠慮なく訓練場に足を運ぶようになった。
スタンリーが無理をしすぎるときは、自分が止めたらいい。そんな簡単なことに気づいたからだ。
クラウディアが来たらスタンリーが張り切りすぎるのは相変わらずだが、それでもクラウディアの差し入れに釣られて素直に休憩してくれるようになった。クラウディアの差し入れる茶はいつも甘すぎる、などと照れ隠しに文句を言うが、砂糖は入れていないので気のせいだとクラウディアは思う。
「スタンリー様。また冬季休暇前に試験はありますから、次は壇上に上がれるよう頑張りましょう?」
笑顔で応援するクラウディアだったが、スタンリーは変わらず浮かない表情だ。
これはいけない、と焦ったクラウディアは、つんつんとスタンリーの袖を引いて足を止めさせる。
「? クラウディア?」
「スタンリー様。……ここだけの話なのですが、実はわたくし――」
精いっぱい背伸びをして、屈んでくれたスタンリーの耳に唇を寄せた。
「……一度や二度の失敗にめげず、努力し続ける殿方って、すごーく素敵だなぁと思うのです」
「っ!」
バッと耳を押さえたスタンリーが、真っ赤になって口をぱくぱくさせる。
「こっこの俺が何度も同じ手に引っかかると思うなよっ!?……あっこら待て置いていくなクラウディア! 俺の話を聞いているのかっ?」
クラウディアは弾むような足取りで駆け出して、くすくす笑いながらスタンリーを振り返る。
「はい、ちゃんと聞こえましたよ。次は絶対に一位を取るぞ!……と、おっしゃったのですよね?」
制服のスカートがふわりと風になびき、スタンリーが呆気にとられて立ち尽くす。
けれどすぐにスタンリーは声を上げて笑い出した。グンと大股でクラウディアに追いつき、不敵に口の端を上げる。
「そうとも。――次こそ楽しみにしていろよ、クラウディア!」
<おしまい>
とはいっても全員分ではなく、成績上位者の生徒たちだけだ。
成績表は厳重に封をされておのおのに渡されるので、名を呼ばれなかった者は家に持ち帰ってから開封することになる。
クラウディアはいつも名を呼ばれるが、もちろんスタンリーは毎回持ち帰り組の方だった。
「――ふっ。だが今回ばかりはいつもの俺と違う。楽しみにしていろよクラウディア」
「はい。スタンリー様」
クラウディアはにこにことうなずき、壇上へと視線をやった。
低学年から名前を呼ばれ、最後がクラウディアたちの学年だった。第五位から始まって、スタンリーの名前が呼ばれぬまま、残すは第一位のみとなった。
スタンリーは壇上を睨み、きつくこぶしを握り締めている。
しんと静まり返った講堂に、学院長の声が朗々と響く。
「そして、第一位。――クラウディア・モロー!」
パチパチと盛大な拍手が送られる中、スタンリーはがっくりと膝をついた。
「一位はクラウディアに決まっているじゃない。一体何を期待していらっしゃったの?」
あきれ混じりのメイジーの声を聞きながら、クラウディアは急ぎ壇上へと上がった。
次の学科試験ではスタンリーと二人で並べるといいなぁ、などと考えながら。
「やはり、付け焼き刃では無理だったのだ……」
表彰が終わり、クラウディアとスタンリーは訓練場へと続く小道を歩く。
本音を打ち明け合ったあの日以来、クラウディアは遠慮なく訓練場に足を運ぶようになった。
スタンリーが無理をしすぎるときは、自分が止めたらいい。そんな簡単なことに気づいたからだ。
クラウディアが来たらスタンリーが張り切りすぎるのは相変わらずだが、それでもクラウディアの差し入れに釣られて素直に休憩してくれるようになった。クラウディアの差し入れる茶はいつも甘すぎる、などと照れ隠しに文句を言うが、砂糖は入れていないので気のせいだとクラウディアは思う。
「スタンリー様。また冬季休暇前に試験はありますから、次は壇上に上がれるよう頑張りましょう?」
笑顔で応援するクラウディアだったが、スタンリーは変わらず浮かない表情だ。
これはいけない、と焦ったクラウディアは、つんつんとスタンリーの袖を引いて足を止めさせる。
「? クラウディア?」
「スタンリー様。……ここだけの話なのですが、実はわたくし――」
精いっぱい背伸びをして、屈んでくれたスタンリーの耳に唇を寄せた。
「……一度や二度の失敗にめげず、努力し続ける殿方って、すごーく素敵だなぁと思うのです」
「っ!」
バッと耳を押さえたスタンリーが、真っ赤になって口をぱくぱくさせる。
「こっこの俺が何度も同じ手に引っかかると思うなよっ!?……あっこら待て置いていくなクラウディア! 俺の話を聞いているのかっ?」
クラウディアは弾むような足取りで駆け出して、くすくす笑いながらスタンリーを振り返る。
「はい、ちゃんと聞こえましたよ。次は絶対に一位を取るぞ!……と、おっしゃったのですよね?」
制服のスカートがふわりと風になびき、スタンリーが呆気にとられて立ち尽くす。
けれどすぐにスタンリーは声を上げて笑い出した。グンと大股でクラウディアに追いつき、不敵に口の端を上げる。
「そうとも。――次こそ楽しみにしていろよ、クラウディア!」
<おしまい>


