サヨナラを言う準備は出来ていた。
「そんな速いのに、何で陸部に入らないんだろね。陸部目当ててうちの高校来たんじゃないの?」
「さぁ。怪我とか?」
「この前体育で普通にバスケしてたじゃん。鈍くさかったけど。ほんとに元陸上部?って感じ」
「わかるー。頭いいって感じでもないし、パッとしない子だよね」
「何か暗いし、仲良い子いなくて浮いてるし?」
「あんたたち、言いたい放題かよ!」
教室を出て、後ろ手にドアを閉めた。思わず耳を塞ぎたくなる。彼女たちの笑い声が追いかけてくるようだった。
息苦しい。どうしてこんなにも、毎日息苦しいんだろう。
中学生の頃から、恐らく受験勉強をしている間中、ずっと息のしにくさは感じていた。
受験が終われば、きっとすっきりする。もっとマシになる。そう自分に言い聞かせて乗り越えてきたのに、いざ試験に合格し、受験を終えて高校生になっても、息のしにくさはちっとも解消されなかった。
むしろ余計に息苦しくなり、最近は常に溺れているような感覚を味わっている。