サヨナラを言う準備は出来ていた。
結星と笹森くんは同じサッカー部で、仲が良かった。入部したての頃、笹森くんの話ばかり聞かされたのを覚えてる。
落ち着きがなくて怒られてばかりの結星と、そんな結星の行動に笑いながら、時々怒ったりする兄貴肌の笹森くん。ふたり多分、親友と言っていい間柄だった。

私と笹森くんは、結星がいるときについでに話すことがあったくらいで、仲間というほどの絆がある関係ではなかったけど。


「優しいね。でも心配しなくていいよ。別にいじめられてるとかじゃないし」

「何もいじめだけが人を傷つけるってわけでもないだろ?」

「あんなの……いちいち傷ついてらんないよ」


私がドアから離れて歩き出すと、なぜか笹森くんもついてきた。
振り切ろうと早歩きをしても、背の高い笹森くんのほうがリーチがあるので全然意味がない。


「何か矢部、変わったな」

「私が?」

「もっと明るかっただろ。ダチもいっぱいいて、ひとりでいることなんかほとんどなかった」
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