サヨナラを言う準備は出来ていた。
「結星!」
那月の笑顔に負けじとばかりに、赤、黄色、緑と、カラフルな花火が夜空に弾ける。
今にも隔板を飛び越えてきそうな那月の様子に、思わず俺も笑ってしまった。
あーもう、そんなに嬉しそうな顔するなよ。たまらなくなるだろ。
「よかったぁ。ちゃんと来てくれて」
残り火がパラパラと音を立てて落ちていく中、那月がほっと息を吐く。
何だよ、不安だったの?
来年の花火も一緒に見るって、約束したろ。俺は約束は守る男だぞ。
「何怒ってるの? わかってるよ。結星は約束破らないもんね」
そうそう、約束は大事だからな。
特に、お前との約束は。
「あ。でも一回だけあるか。結星が約束破ったこと。……二年前の、今日だったね」