サヨナラを言う準備は出来ていた。
続けてふたつ、花火が高く打ち上がる。
約束を守れなかったことを、根に持っているわけじゃないようでほっとした。
那月は頑固だから、へそを曲げると長いんだ。小さい時、おやつのプリンを俺が勝手にひとつ多く食べたら、三日口をきいてもらえなかったし、男子だけでサッカーやるから遊べないって言ったら、いつも一緒に登校してるのに一週間も置いて行かれた。
そういう時、俺も最初は「そんな怒ることないだろ」と腹が立って那月を無視するんだけど、長くは続かなくて結局俺が平謝りするのがいつものパターンだった。
でも俺ももうガキじゃないし、逆ギレなんてしないし、すぐに謝れる。
ごめんな、那月。約束破って。もう俺は破らないから。
「大丈夫。わかってるって言ったでしょ。ただ……去年の約束は夢だったんじゃないのかなって、自信がなかっただけ」
花火を見上げながら、那月は呟く。
一年も那月を不安な気持ちにさせていたのかと、罪悪感に駆られたが、那月はそんな俺の顔を見て笑った。
「だからほっとした。ありがと、結星。来てくれて。私の誕生日プレゼントだもんね」