サヨナラを言う準備は出来ていた。
「ありがと那月ちゃん! すっごく参考になった! 恩に着るよ!」
「そ、そう? 力になれたなら良かった……」
ぶんぶんと掴んだ私の手を上下に振ったあと、岡本さんは勢いよく席を立った。
「早速監督に話してくるわ!」
「……えっ? 話すって、話し合うってことだよね? ちょっと、岡本さん!?」
岡本さんはタブレットを手に取ると、風のように一瞬で教室を飛び出していってしまった。
残された私は不安でしかない。まさか本当に私の意見を採用するわけじゃないよね?
いまからでも止めに行くべきか迷っていると、今度は前の席に男子生徒が腰を下ろした。
「すっかり仲良しだな」
笑って言ったのは、少し髪が伸びた笹森くんだ。
こちらは二年生に進級し、名実ともにサッカー部のエースになった。ついでに勉強面でも我がクラスのエースだ。部活に入っていない私よりも成績がいいんだから、嫌になる。