サヨナラを言う準備は出来ていた。

「笹森くん。……別に、仲良しってほどでもないよ」

「そうか? 去年に比べれば、随分心開いたように見えるけど?」


ニヤニヤする笹森くんを、お弁当を片付けながら睨む。


「仕方ないでしょ。岡本さん、全然めげないんだもん……。それに、雑に応じるな、ちゃんと向き合えって言ったの、笹森くんじゃん」


陸上部に入らないなら入らないでいいけど、あれだけ熱心な相手に対して、ちゃんとした理由も説明せずに空気読めよとばかりに鬱陶しがるのはどうかと思う。もう少し心を開いて、本音を言ってみてもいいんじゃないか。
二年生に上がる少し前に、笹森くんが私にそう言ったのだ。

まさか彼に責められるとは思っていなくて、しかも最もなことを言われて、正直すごく恥ずかしかった。本当に、その通りだったから。
心を閉じ切って、私は悪くないのにと被害者ぶって、岡本さんを自分の中で悪者にして、自分を正当化させていた。

岡本さんに冷たくすることで、クラスメイトに無視をされたり、物がよくなくなったりといじめっぽくなってきていたけど、それでも私は悪くないと頑なに心を閉ざしていた。
< 42 / 92 >

この作品をシェア

pagetop