サヨナラを言う準備は出来ていた。
「俺は助言しただけ。結局岡本の粘り勝ちか。矢部って以外と押しに弱いよな」
「そんなことないし。押しに弱いのは笹森くんのほうじゃない?」
「俺? 何で」
不思議そうに眉を上げる笹森くんに、今度は私がニヤニヤ笑って返す。
「後輩のマネージャーにぐいぐい言い寄られて、押し負けて付き合うことになったんでしょ?」
私のからかいに、笹森くんはギョッとした顔で身を乗り出してきた。
「はあ? 付き合ってねぇよ。誰だよ、そんなデマ言ってんの」
「噂だよ。笹森くんモテるから、すぐ噂になるんだろうね」
注目されているから、少しのことで騒がれる。
先輩、教育実習生、他校の女子高生と、これまで色んな女の人と噂になってきた彼だ。今回もただの噂かと思っていたけど、先週その後輩マネと腕を組んで歩いているところを目撃しちゃったんだよね。