サヨナラを言う準備は出来ていた。
「デマでも噂でも何でもいいけど、違うから。俺は誰とも付き合ってない」
「後輩マネに言い寄られてないの?」
「……そういうマネがいるのは確かだけど」
笹森くんは認めたけど、不本意そうなのは何でだろう。照れているのかな。
「やっぱり! あのボブヘアの可愛い子でしょ? 私も何回かふたりが一緒にいるとこ見てさ、お似合いだなって思ってたんだー」
「ああそう。付き合ってねぇけどな」
肘をつき、ヤケクソ気味に言う笹森くんに、私は首を傾げる。
「付き合わないの?」
後輩マネの好意は、端から見ても明らかだった。
笹森くんの方はわかりにくいけど、あんなに可愛い子に言い寄られて嬉しくならないはずがない。笹森くんが「付き合うか」と言えばすぐに「喜んで!」となりそうだけど。
不思議に思っていると、笹森くんはちらりと私に視線を寄越した。