サヨナラを言う準備は出来ていた。
「サッカー部の大会は来月だし。紗和の応援するに決まってるでしょ」
「そんなこと言って~。ちょっと迷ってるでしょ?」
「やめてよね、からかうの。そういうんじゃないんだから」
去年の夏、笹森くんに告白されたことは、次の日には噂になって広まっていた。
あれだけ廊下で堂々と言い合っていたんだから、聞いていた生徒は何人もいたので仕方ない。
あの後、私と笹森くんの関係は変わらなかった。
同じ中学出身の同級生。それ以上でも以下でもない。
私は何か変わってしまうと覚悟していたけど、他でもない、笹森くんがこれまで通りに振舞ってくれたのだ。
花火、一緒に観れなくてごめん。
それすら言う必要がなくなって、私はほっとした。
ひどいかもしれないけど、本当にほっとしたんだ。
「でもさ、実際笹森は那月の為に色々してくれたじゃん。那月に中学の頃の話聞いて、笹森の行動にも納得したけど。それ以上に私、すごく感心したよ。笹森、ちょーイイ男じゃんって」
セリフはアレだけど、そう言った紗和の顔は真剣だった。