サヨナラを言う準備は出来ていた。
沙和と同じクラスになって親しくなるうちに、私は幼なじみの結星が事故で亡くなったことを話していた。その結星と笹森くんが、親友だったことも。
いまは紗和以外にも普通に喋れる友だちは出来たけど、結星のことは紗和にしか話していない。

それでも、結星が夏祭りの花火が上がる間だけ、ベランダに現れることは沙和にも話していなかった。
もちろん、笹森くんにも話していない。信じてもらえないだろうし、なぜか話してはいけないような気がするから。


「那月を追いかけて志望校変えて、トラウマを負って塞いでる那月を支えようと地道に話しかけて、人間関係に疲れて孤立してる那月のために、私に友だちになってやってくれって頭まで下げてさ。しかもフラれてんのに! 人間出来てるっていうか、健気すぎて泣けてくるよ。沙和がいらないなら、私が笹森もらっちゃいたいくらい」

「あのね……」

「あ。いまちょっと焦ったでしょ? そういうことだと思うよ。那月だっていままで、笹森くんに少しは心動かされたりしたでしょ?」

「そんなの――」


当たり前だ。心動かされないわけがない。
まさか、軽いいじめに遭っている私を心配して、唯一私に話しかけていた紗和に頭を下げていたなんて、考えもしなかった。
紗和や紗和の友だちと仲良くなってしばらくして、その笹森くんの行動を聞かされたときの私の気持ちは、一言では言い表せない。

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