サヨナラを言う準備は出来ていた。
図書室で勉強を終えて学校を出ると、すっかり日が落ちていた。
遅くなっちゃった。走って帰ろうかな。
そう思った時、背中に声がかかった。
「矢部。いま帰りか」
「笹森くん……」
部活が終わったらしい笹森くんが、スポーツバッグを肩に下げ立っていた。
一緒にいたサッカー部員たちが、ニヤニヤしながら笹森くんの肩を叩くと「がんばれよ」と言って次々先に帰っていく。妙な空気になるから止めてほしい。
ふたりになった私たちは、目を合わせて苦笑いする。
「随分遅くまで残ってたな」
「図書室で勉強してたの。家より集中できるから」
「そうか。矢部は看護学部だっけ。お前ならそんなに根詰めなくても大丈夫だろ」
並んで歩きながら、私たちはお互いの近況を報告し合う。