サヨナラを言う準備は出来ていた。
それはそうだと思う。だって、私自身、私のこの気持ちがよくわかっていないんだから。


「あのな、ちゃんと矢部には言うつもりだった。隠したまま行こうとは思ってない」

「本当に?」

「本当に。まじで、言うつもりだった。こんな早く知られるなんて、想定外」


岡本には反省してもらわなきゃな、と笹森くんはため息をつく。

どうして、私に早く知られちゃいけなかったんだろう。
東京に行くギリギリ前に言うつもりだった?


「知られちまったからには仕方ないから言うけど……。俺、東京行ったらこっちにはもう帰ってこない」

「……え? ど、どうして?」

「親父にも仕事で去年から東京行きの話が出てたんだ。でも、俺の我儘で待ってもらってた。家族全員で東京に引っ越す。家も売るから、実家がなくなったら帰ってくる意味ないだろ?」

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