サヨナラを言う準備は出来ていた。
私が、迷うから。
私が後悔しないように。
全部私の為だ。彼がいままでしてきたことは、全部私の為。
どうして彼はこんなにも、私に良くしてくれるんだろう。
私、フッたのに。笹森くんのこと、フッたのに。
なんだこいつ、って嫌われてもおかしくなかった。見限られても当然だった。
それなのに、彼はまだ私に尽くそうとしてくれる。
これまで、ずっとずっとそうしてきてくれたように。
私にはそこまでしてもらえる価値なんかないのに。
結星は、私のせいで死んじゃったのに。
「笹森くん、私は……」
「夏祭りの花火のジンクス、俺も知ってるよ」
打ち上げ花火のジンクス。
それは昔から、それこそお母さんの若い頃からあるジンクスで、私もお母さんから聞いて知った。
夏祭りの最後、打ち上げ花火を一緒に観たふたりは、幸せになれる。
そんなありふれた、ありきたりな、可愛いジンクスだ。