サヨナラを言う準備は出来ていた。
また少し伸びた髪を、那月は後ろでひとつに縛っていた。
馬の尻尾みたいに揺れるあれ。
走るとき、那月が気合を入れる為によくしていた髪型だ。俺がこっそり好きだったやつ。
髪型だけじゃなく、那月の目が、表情が、レースに臨むときと同じなことに、すぐに気がついた。
「結星」
赤、黄色、緑と、カラフルな花火が夜空に弾ける。
その輝きに照らされる那月は、俺が知ってる那月より、ずっと大人びて見えた。
「ごめん」
残り火がパラパラと音を立てて落ちていく中、那月が小さく、でもはっきりと呟く。