サヨナラを言う準備は出来ていた。
「私、行かなきゃ」
ああ。
そうか。
那月のその一言で、俺はすべてを悟った。
終わりの時が来たんだと。
続けてふたつ、花火が高く打ち上がる。
涙を浮かべた那月の瞳が、白く輝く。
「結星。私、結星のことが好きだった。……ううん。いまも大好きだよ」
俺もだよ。
どうして言わなかったんだろうな。たった二文字の言葉なのに。
いまは伝えなかったことを逆に凄いと思うよ。
俺はいま、言いたくて言いたくてたまらないから。
「結星は私にとって特別。それはずっと変わらない。」
花火が散り切る前に、また新しい花火が上がる。
那月はそれを見ようともせず、胸元を握りしめうつむいた。
「でも……ごめん。今年は違う人と、花火を一緒に観てもいいかなぁ……っ」