サヨナラを言う準備は出来ていた。
細い肩が震えるのを見て、俺は目を閉じ、笑った。
笑ってみせた。
それが俺に出来る、最大限の愛だと思ったから。
たぶん、笑顔は成功したんだろう。
那月が俺を見て、潤んだ目を見開いた。
「……ありがとう、結星」
大粒の涙をこぼしながら、那月は笑った。
駆けだした那月の手が胸元から離れると、一瞬見えたのは銀色。
花火に照らされ輝く、月と星のペンダントだった。
那月はベランダを飛び出しバタバタと駆けていく。
涙の粒を落としても、俺を振り返ることはなかった。
ひとりになったベランダで、俺は夜空を見上げ笑った。
あいつ、ずっと持ってたんだなぁ。