サヨナラを言う準備は出来ていた。

神様は本当はその一回だけのつもりだったみたいだけど、那月が俺との約束の継続を望んだから、十分間の特別な時間は続くことになった。
でもひとつだけ条件があった。
会うだけ。
叶えてやるのはそれだけだと。
会話は許されなかった。俺が喋ったら、この延長戦みたいなご褒美はその瞬間終わるんだって。

だから俺は決めてたんだ。
那月に伝える、最初で最後の言葉はこれにしようって。
もうずっと、最初から、心の準備はできてたんだよ。

段々と花火が打ちあがる速度が上がり、夜空に咲く花が増えていく。
遠くから歓声と、連続して上がる花火の音の合間に聞こえてきた軽快な足音。
ベランダから下を覗くと、尻尾を左右に揺らしながらとんでもないスピードで走る、幼なじみがいた。

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