ゆっくり紡ぐ、愛の言葉
それから二人は家に帰宅。
家に帰宅してから愛斗は美登里ときすをした。
「ダブルでーと楽しかったね」
「うん」
「知可子さんと篤さん結婚30周ねんだって」
「そうなんだね ラブラブで羨ましいね
俺も美登里とずっと一緒にいたい二人みたいに」
「ありがとう」
「いいよ」 
二人はキスをしてから美登里を抱く。
朝になり起きてから愛斗は仕事に行く。
セブンイレブンでの買い物と、見えない仕事の価値
愛斗が仕事に出ている間、小林明子と澤田知可子が付き添い、辛島美登里は近くのセブンイレブンへと足を運んだ。店内は清潔で明るく、ゆっくりと歩きながら商品棚を眺めていると、明子が柔らかく声をかける。
「愛斗くんが仕事に行っている間、お昼ご飯からおやつまで、何か買って帰りましょうか」
知可子も頷き、続ける。
「そうね。愛斗くんの好きなものがあれば、ついでに買っておいてあげると喜ぶわ」
美登里は笑みを浮かべて答える。
「ええ、愛斗くんはカフェオレとスルメが大好きなの。それから、みんなで食べられるスイーツやポテトチップスもあると嬉しいわ」
三人は飲み物とお菓子の棚へと向かい、カフェオレ、スルメ、季節限定のスイーツ、そしてうすしお味のポテトチップスをかごに入れた。次に冷蔵コーナーへ移動すると、きれいに並んだ明太子のパックが目に留まる。
美登里が指を差し、嬉しそうに話す。
「そうだ、この明太子も買って帰りましょう。実はね、愛斗くん、今この明太子にウレタンシートを入れる仕事をしているんですよ」
明子が不思議そうに問いかける。
「え? ウレタン入れって、どんな作業なの?」
「そういえば」と知可子が思い出したように言う。「セブンやスーパーに並んでいる明太子のパック、内側に白い薄いシートが入っているわね」
美登里は頷き、説明を続ける。
「そう、それがウレタンシートなの。愛斗くんの職場では、製造された明太子を容器に詰めるとき、このシートを正しく敷く作業を担当しているんです。形が崩れないように、風味が保たれるようにするための大事な役割なの。だからこの店に並んでいる明太子の中にも、もしかしたら愛斗くんが手を加えたものがあるかもしれないわ」
「まあ、そうなの!」明子が目を丸くする。「だったら絶対に買わなきゃ」
知可子も同意する。「ええ、これを買って、家で美味しく料理しましょう」
三人は明太子のパックをかごに追加し、レジで会計を済ませると、手に提げた袋を抱えて家路へと戻った。
家に着くと、キッチンに材料を並べ、三人で協力して料理を始める。
「今日は明太子パスタと、さっぱりとしたミネストローネにしましょう」と美登里が提案する。「塩気のある明太子と、野菜の甘みがよく合うはずよ」
「じゃあ私は野菜を切るわ」と明子が包丁を取り、手際よく玉ねぎやにんじん、じゃがいもを刻んでいく。 「私はパスタをゆでるのを担当するわね」知可子は鍋に湯を沸かし、塩を少し加えて麺を入れた。
作業が順調に進み、パスタがちょうどよい固さにゆで上がると、バターと生クリーム、そして買ってきた明太子を混ぜ合わせる。ミネストローネも野菜の旨みがスープに溶け出し、部屋中に温かく優しい香りが立ち込める頃、玄関の鍵が開く音がした。
「ただいま帰りました」
愛斗の声が響くと、美登里は台所から顔を出して笑顔で応える。
「おかえりなさい、愛斗くん。ちょうど料理ができたところよ」
四人はリビングのテーブルに着き、食事を始めた。知可子がフォークでパスタをすすると、思わず目を細める。
「美味しい! この明太子、粒がしっかりと立っていて、旨みがたっぷり詰まっているわ。愛斗くんが作った明太子なの? さすがだわ」
愛斗は少し照れたように手を振り、苦笑いする。
「いえいえ、僕は明太子そのものを作っているわけではないんです。原料の漬け込みや加工は別の工程で行われていて、僕の仕事はただ『ウレタンシートを入れる』だけなんですよ」
「そうなの?」と明子が問いかける。「でも美登里ちゃんが、この作業がとても大事な役割だって言っていたわ」
美登里が頷き、愛斗に向かって柔らかく言う。
「ええ、本当に大切な仕事なの。愛斗くん、説明してもいい?」
「どうぞ」と愛斗が促すと、美登里はゆっくりと話し始めた。
「明太子のパックに入っているあの白いシート、もしこれがなかったらどうなると思います? 塩漬けの汁が容器の底に溜まって外に漏れたり、空気に触れて表面が乾いたりして、水分と旨みがどんどん逃げてしまうの。そうなると、ただ塩辛いだけで深みのない味になってしまうんです」
明子は「なるほど」と感心したように頷く。「見えない部分だけれど、とても重要な役割を担っているのね」
「そうなの」と美登里は続ける。|(
)「愛斗くんが丁寧にシートを敷くことで、運ばれる間も粒がつぶれず、適度な湿気が保たれて、店に並んだときもまるで作りたてのような風味が残るの。だから『作っていない』と言っても、最後まで美味しさを守っているんだから、明太子を完成させる一部として、同じくらい大切な仕事なのよ」
愛斗は照れながらも、少し誇らしげな表情になる。
「そう言ってもらえると、毎日の単調な作業にもやりがいが増しますね。確かに、このひと手間がないと、どんなに美味しく丁寧に作られた明太子でも、食卓に届く頃には味が落ちてしまうんです」
知可子も深く頷き、笑顔を浮かべる。
「なるほど、それでセブンやスーパーで買っても、いつも変わらない美味しさで食べられるのは、愛斗くんたちの仕事があってこそだったのね。これからは明太子を見るたびに、裏側にあるそんな努力を思い出しそうだわ」
四人は顔を見合わせて笑い合い、温かいパスタとスープ、そして買ってきたお菓子を囲みながら、穏やかで楽しい夕食の時間を過ごした。見えない場所で積み重ねられる丁寧な仕事が、こうして誰かの幸せな食卓を支えているのだと、それぞれが心に刻んだのだった。
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